ブランド買取専門店の内緒のはなし
フォーマル&カジュアル、エルメス ボリード
2019年1月30日
目次
ボリードの由来
1923年に登場した「ボリード」は世界で初めてバッグにファスナーを施したことでも知られているバッグ。エルメスの歴史の中でもひとつの大きな節目になったと言える存在です。それは、
エルメス3代目社長のエミール氏が第一次大戦当時、アメリカで発明されたファスナーと出会い、すぐさま、そのファスナーに”システム エクレーヌ”と名付け、特許を取得。
瞬く間にパリジェンヌ達からは”エルメス式”と呼ばれ、高いを評価を得たのです。
そのファスナーの採用は、元々高級馬具専門だったエルメスをファッション性の高い本格的なバッグづくりへとシフトするきっかけのひとつとなり、のちに大ヒットのバッグを生み出すこととなったものの、鞍職人で根っからの職人気質であった兄のアドロフ氏とエミール氏の意見が対立し、アドロフ氏はエルメスから退くことになり、”エルメス兄弟社”という社名も、この時『エルメス』に変更されたのでした。
このファスナーの採用は、のちに洋服などファッションへと取り入れられるきっかけともなりました。初のファスナー付きスカートを考案したのは「ココ・シャネル」ですが、ファスナーを美しく施すという技術は当時エルメスにしかなしえないことだったため、なんと、当初のシャネルのスカートにファスナーを付ける工程を担当したのは「エルメス社」だったそう。
(ココ・シャネル)
その激レアスカート、両ブランドのファンにとっては興味深い歴史の1ページですね。
また、ボリードは当時、自動車の時代が来ると予測してエミール氏が生み出したバッグだった故、発売当初はフランスの超高級車としてお馴染みの”ブガッティ”からインスパイアされ、名前もそのまま”ブガッティ”という名で販売されていました。
のちに、レーシングカーの意味を持つ”ボリード”と改称されたのです。
旅行用バッグとして発売された”ボリード”ですが、1982年以降になるとサイズ展開も続々と登場し、デイリー仕様としてもますます人気を博し、今やその上品なシンプルさと使い勝手の良さから、バーキン、ケリーにも引けを取らないエルメスのアイコンバッグとなっています。
旅行バッグから始まったボリードだから普段使いにも最適
ボリードは発売当初、旅行バッグとして発売されただけに、底の作りが頑丈だったり、一番大きな「47」やポーチ、派生モデルなどを除いたものにはショルダーストラップが付いていたりと、日常使いのバッグとしての使い勝手の良さも考えられていたバッグです。
バッグの正面についている楕円形のパッチは単なるデザインではなく、イニシャルを印字するための場所。また「27」以上のサイズにはファスナーをロックできるよう、アイコニックなカデナが付いています。
旅行バッグならではといったポイントが細部に施されつつも、非常にシンプルでエルメスらしさを感じさせる上品なファッション性が魅力のボリードは、様々なシーンに使いやすいモデルです。
またボリードの利便性にカジュアル感をプラスした派生モデルのひとつであるリュックタイプの「ボリードアド」など、移動する際は両手を開けて身軽に、目的地に付いたらハンドルを持ってレディーな印象を演出できるものなど、利用シーンによって瞬時に印象を変えられるのも◎
フォーマル感とカジュアル感。サイズのチョイスで印象が変わるボリード
ボリードは過去発売モデルを含めて、現在まで7種類以上のサイズが展開されてきました。
中古市場においてはまだまだ入手できるものも。そんな中でも最も高い人気を誇る3つのサイズ『 ボリード27・31・35 』と、派生モデルの『ボリードアド』をピックアップ。
ボリード31
サイズ:約W31×H23×D12cm
ボリードの中でも一番人気の31。収納力も少なからず多からずといった丁度スマートなサイズ感でありながらも、B5サイズも収納可能なので働く女性もオンオフともに使いやすいと評判。また、上品さはそのままに、27よりもカジュアルな印象をもたらしてくれる雰囲気があるのも人気の理由の一つと言えるでしょう。
ボリード27
サイズ:約 W27×H20×D10cm
近年のミニバッグ人気も相まってか、やや小さめのサイズ感でありながら、一番人気の31の次に人気となっているのが27。普段から荷物が少ない方やバッグ自体が軽めなものがお好きな方におすすめできるサイズ感。
31よりは流通している数が少ないということも特徴のひとつなので、絶対に27サイズが欲しいと思っているなら、お気に入りの色×素材の組み合わせに出会った際には、即押さえておきたいところです。
ボリード35
サイズ:約W35×H28×D15㎝
人気第3位は35。いつもの荷物が少々多めの方やA4ファイル程度の大きさの物も持ち歩きたいといった方におすすめのサイズ。高さもあるので小さな折り畳み傘など縦長の物を入れられるのも便利です。
とはいえ、全サイズに言えることですが、上部が丸いフォルムのデザインになっているので、ファスナーをしっかり閉めて使いたい場合は、直線的なデザインと同じような感覚で使うと、計算外に入らないものがあったりもしますので、その点も注意してサイズを選択するといいかもしれません。
また、35くらいのサイズになると、人によっては重みを感じやすいサイズでもあるので、エプソンなど比較的軽い素材のタイプをチョイスするのもよいでしょう。
ボリードアド(Bolide ado)
ado(ados)はフランス語で背中を意味することからその名の付いたボリードのリュックです。
通常のボリードも一部のサイズや種類を除いてショルダーストラップが付属する2WAYですが、アドにもシングルハンドルがついているので、また違った2WAYモデルとなります。
流通量が少なく、近年のリュックやバックパックブームも相まって、中古市場においても密かに人気のあるタイプ。
ステッチのカラーにもこだわりをみせるボリード
品質の高さはもとより、豊富な素材とカラーを取り揃えていることでも知られるエルメス。
ボリードで人気の高い素材といえば、まずは御馴染みの「トリヨンクレマンス」。傷がつきにくく、使い込むほど馴染んでいくので、高級レザーでありながら普段使いに最適です。気取らず、無造作にボリードを使いたい方に好まれます。
続いて「ヴォー・エプソン」。傷が付きにくく型崩れもしにくい、比較的水にも強いなど、エルメスの中でも登場以来、絶大な人気を誇っている素材。なおかつ重量も軽めなので、やや多めの荷物を入れて普段からボリードをガンガン使いたい方にはヴォー・エプソンがおすすめです。
そして、素材としては柔らかく、型崩れなどを起こしやすいデリケートな素材ですが、魅力度の高い「スイフト」。見ただけで感じられるほど滑らかな質感で上品な印象もピカイチ。とても発色に優れた素材で、スイフトならではの発色を手に入れることができます。クレなどの人気色もスイフトでしか味わえない色味に惹かれる方も多くいらっしゃいます。
どのモデルでも、まずは一番人気の黒。ボリードに関しても例外ではありません。やはり、ヘビロテできて、多くのコーデに合わせやすいと言ったら外せない一色となるようです。またボリードのカラー展開としてはレアなエタンや、グリトゥルなどのグレー系も人気の高い一色。そのほかにも、バッグの上部と下部のステッチ部分で色を切替えたバイカラーデザインなど今では入手困難なカラーパターンや廃盤素材など、これまでに数えきれないほどの素材×カラーが展開されています。
また、ファスナー付きのボリードならではといえるもう一つの特徴は、ファスナーを縫い付けるため、ステッチのカラーが気になるところですが、内側と外側のものを同色にしているところにもエルメスのこだわりが感じられます。
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