ファッションブランド雑感
2016年11月13日 / ryota
近年、「格差社会」という単語を耳にする機会がますます増えてきました。
これまでは富裕層・中間層・貧困層という分類が一般的でしたが、「富裕層とその他」という構図に変化しつつあります。
年初に「世界人口の半分と同じ富が62人の富豪に集中」などというニュースも報じられ、資本主義経済の終焉を口にする識者も少なくありません。
このような時代背景を受け、ファッションのトレンドも変化しており、最近は若年層を中心にファストファッションが広く受け入れらつつあります。
ZARA・Bershkaなどアパレルブランドを展開するINDITEXは2015年売上高で前年比15%増、H&Mは前年比19%増と好調だったようです。
元来、ファッションは時代とともに流行も移り変わるものであり、高価なブランド品を長く愛用するというスタイルより、その年のトレンドを比較的低価格なブランドから都度購入する方が経済的である、という考え方が若年層の間で主流となりつつあります。
事実、総務省「全国消費実態調査」によれば、近年の若年層(30歳未満の単身労働者世帯)の「被服及び履物」の個別品目消費支出額は、バブル期と比較すると男女とも6割近く減少しているそうです。
一方、高級ブランド業界もこうした消費傾向の変化に合わせた方針を打ち出すことで、好調な売上を維持している企業もあります。
2015年のエルメス・インターナショナルの決算は、売上高・営業利益ともに前年比約118%の増収、2016年上半期も純利益13%増を記録しているようです。
ちなみに昨年の高成長率の主な原因は「中国人観光客による爆買い」だったとか。
Louis Vuitton、CELINE、Berluti、FENDIなどを参加にもつLVMHもまた、2015年度12月期の売上高・営業利益ともに前年比約116%の増収、本年第3四半期決算でも売上高が前年比24%増と好調を維持しています。
こうした企業とは対照的に、成長鈍化に苦しんでいるブランドもあり、経済動向やトレンドの変化、地域性を考慮した方針が打ち出せるかで明暗が分かれつつあります。
そして業種を問わず、「格差社会」「二極化」といった社会情勢の変化に適応することが、今まさに企業に求められています。